2018年12月1日土曜日

『ヘルプマーク』


もう10年以上前の話なのですが、モンゴルは石鹸が足りないということで、日本の人たちが、石鹸を寄付して、モンゴルに送ったということがありました。
しかし、実は、モンゴルは、石鹸が足りないのではなかったのです。
まず、乾燥した国なので、あまりせっけんを使って、体を洗う問う習慣がなかった。
また、まだ、浄化槽設備が整っていないので、国が、衛生面から石鹸を使うことを推奨することができなかったのです。
そこへ日本から大量の石鹸が送り込まれました。
モンゴルは、石鹸を使う習慣が普及したかもしれません。
同時に、川にそのまま石鹸液が流れ、魚が大量に死んでしまうということが起きました。
当時、まだ、川魚をとって暮らしていた人たちがたくさんいた国です。その人々は、相当困ったと聞いています。

日本でその運動をした人たちに悪気はなかったでしょう。
きっと旅した時に、『石鹸なんか使わない。』と、モンゴルの人が言った言葉を、通訳の人が、『石鹸なんかない』とか訳したのかもしれませんね。
それを聞いた、人の好い日本人が、なんてかわいそうなんだろう。それなら、石鹸を集めて送ってあげようということになったのでしょう。
しかし、本当のところは知らなかったのでしょう。
受け取る方は、日本から物がもらえるなら何でもいいと思ったのではないでしょうか。
そういう時代でした。

さて、今私たちは、本当に本当に豊かな国に住んでいます。
しかし、今年は災害も多発しました。
そのたびに、私たちは、被災地に手を差し伸べてあげなくてはいけないという思いに駆られました。
災害があったところにはたくさんの困っている人がいらっしゃるのは間違いのないことです。
その方々に手を差し伸べるのはとてもいいことです。
しかし、いま、平静な生活に戻った時、その手を差し伸べる気持ちを、皆さんは持ち続けているでしょうか?

コンビニで、会計を手間取っている人の後ろで、チッと舌打ちする若者を見ました。
エレベーターに乗ろうとするベビーカーの前にするりと割り込む奥様を見ました。
おふたりとも、困っている人には見えませんでした。
私たちは、災害のような特別な出来事に対しては興味を持ち、流行に乗るように支援をするのではいけないと思います。
本当に大切な支援は、目の前で、自分自身が、この人は困っていると判断し、お話をして、支援を希望する人に対して、手を差し伸べることなのではないでしょうか?

そういえば、お恥ずかしながら、先日知ったのですが…
ヘルプマークって知っていますか?
見た目ではわからないけれど、援助や配慮、支援が必要な人がつけるマークです。
せめて、そんな人たちには、気づいてあげて、手を差し伸べるやさしい人間になりたいと思います。


こんなマークがなくても、手を差し伸べられる人間になりたいものです。


1 件のコメント:

  1. 知っていますが
    まだ着けている人は
    みかけていないか気づいてませんね
    着ける勇気め必要だし、気づいてあげる気持ち必要ですね

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