2018年11月23日金曜日

『エスカレーターは弱者にやさしいですか?』



今回のお話は国際自然大学校の機関誌『OUTFITTER』雑記帳201711月号に掲載した雑記帳の再掲載です。
ただし、20181122日に加筆しました。

先日、父の通院の付き添いで、ちょっと大きめの総合病院に行ってきました。
当たり前のことなのですが…エスカレーターは、とてもゆっくりと動いていました。
それはそうですよね。お年寄りや、具合の悪い人が乗るのですから、ゆっくりと動いてないと、乗れませんものね。
もちろん、2人並んで乗れる幅です。駅などでは…片側に乗って、もう片側は急いでいる人が昇っていくという感じですよね。
病院のエスカレーターは、付き添いの方が、具合の悪い人の傍らに乗っています。これは、エスカレーターはこの幅が必要だととても納得する風景でした。

そして、その日の夕方、東京の赤坂で人と会う約束があったので、電車で移動しました。

電車の最後尾に乗り、目的地で降りた駅では、目指す改札口はホーム最前部だったので、ぽつぽつ歩いてホーム最前部のエスカレーターを目指しました。先に見えるエスカレーターには人が殺到して、ホームにあふれています。
どんどんその人たちが、エスカレーターで地上に運ばれて行きます。
私が行くころには、もう、ゆっくり乗れるなと思って歩いていました。すると、なんと、私がエスカレーターにたどり着く前に次の電車来てしまって、あっという間に人の波に飲み込まれてしまいました。

そしてやっと乗ったエスカレーターが、早い!
病院のエスカレーターと同じものとは思えないほどです。
このエスカレーターにはお年寄りや、具合の悪い人は乗れないな~と思ったりしました。
ましてや、のろのろ乗っていたら怒られてしまいそうなほど、次から次へと人が押し寄せてきます。
エスカレーターは本来、病院にあるように、お年寄りとか、身体の不自由な人のために考えられたのではないでしょうか?
でも、そのエスカレーターが、駅に導入され、もっと早く人を運ばないといけない。
そのためには、エスカレーターのスピードを上げればいい…となって、結果として、エスカレーターを開発した本来の目的である、お年寄りや体の不自由な方のために考え出されたはずのエスカレーターから、そういった人たちがはじき出されてしまうという感じですね。
今の日本の経済社会、何か作る時には弱者のためと言いながら、普及すると弱者のことを忘れてしまう…そんな世の中みたいな気がしています。


2018年11月15日木曜日

『叱る』

体罰はいけません。
では、子どもが悪いことをした時、どのような罰を与えればいいのでしょうか?

指導者と子どもたちとのコミュニケーションや信頼関係が大切だと教育評論家は声を大にしておしゃいます。
それはもちろん大切です。
しかしそのようなコミュニケーションや信頼関係を築こうと努力したうえで、それでもルールを無視する子どもはいるのではないでしょうか。

もうひとつの視点を考えてみてください。
学校や、地域のスポーツ団体をはじめとする青少年教育団体などは、子どもが社会に出るための準備をさせてあげる機関でもあるのです。すなわち、社会のルールを知らしめる場なのです。

家庭教育は、各家庭のルールで生活します。
しかし、社会に出れば、社会のルールがあり、その上にさらに、各会社や地域のルールがあるのです。
社会では、そのルールを破れば、当然のことながらペナルティー…罰…が課せられます。
ひきんな例は、人のものをとれば、逮捕され、刑が科せられます。

さて、その社会のルールを学ぶ準備期間である、学校で、どのようなペナルティーが許されているのでしょうか?

授業中に悪さをしていた生徒を立たせて授業を受けさせたら、非難を浴びた先生がいました。
だからといって、その程度の悪さで停学はないですよね?
小さなペナルティーが、許されない状況は、指導者に、子どもに社会のルールを教えなくていいと言っているようなものなのではないでしょうか。

社会のルールを知らないまま社会に出た子どもはいったいどうなるのでしょうか?

会社の方にこんな話を聞きました。タイムカードを押してから、化粧室に行ってお化粧する女子社員がいる。それを叱ると、そんなことで叱るならと、会社辞めてしまった。
特別な例かもしれませんが、自分のルールが通らないならやめる?
自分の行いを直すのではなくやめてしまう。
本当は叱られたら、改めるということを、社会に出る前に身につけておかなくてはいけないと思うのです。
それが身についていないのは、叱られたことがないのかもしれません。
又は、叱られても改めなくてもいい状況の中に身を置いていたということでしょう。

指導者が、子どもを叱った時、指導者が悪いのではなくて、子どもにその非があると考えてほしいと思います。
そして一緒に、行動を改める努力を応援してあげてほしいと思います。
もちろん指導者は、その非をきちんとお父さんお母さんに伝えなくてはいけませんね。
同時に、お父さんお母さんと、指導者は、一緒に、どのようなペナルティーをすればいいか、考えないといけないのかもしれません。
一時代前の体罰はよくないという現代の中でいかなるペナルティーを科していけばいいか、みんなで考えましょう。


2018年11月9日金曜日

『地域で頑張る指導者のみなさんへ』

今回のお話は国際自然大学校の機関誌『OUTFITTER』雑記帳2017年10月号に掲載した雑記帳の再掲載です。
ただし、2018年11月8日に加筆しました。

国際自然大学校も、はや35年です。
私自身はキャンプで飯を食おうと思って、40年になります。
当時は、こんな活動は誰もしていないし、仕事になるなどと誰も思いませんでした。
しかし、おかげさまというか、世の中変ったというか、たくさんの方々が同じように仕事にしています。
仕事まではいかなくても、セミプロのような方々を入れると、いったいどれだけの人がいるのか、想像もできないことになっています。
私が志した頃にも、いたにはいたのです。
まるで、プロのようなボーイスカウトの指導者とか。子供会のお父さん指導者とか。教育委員会の人とか。私自身も、川崎市青少年の家の館長さんに憧れました。
しかし、これで飯を食う人はいませんでした。
ところが、現代は逆に、これで飯を食っているからと言って、素晴らしい指導者かどうかは別の話です。ボーイスカウトやガールスカウトにも、漁業の合間に子ども達に海のことを教えてくれている人や、子どもと一緒に農業をして、その素晴らしさを伝えている農家の方、新しいところでは、森のようちえんの指導者など、素晴らしい指導者をたくさんお見掛けします。
プロだからアマチュアだからにかかわらず、キャンプだから、農業だから、環境教育だからにかかわらず、そんな素晴らしい指導者は、地域に根差していらっしゃることが多いです。
「俺は指導者なんて大仰なもんじゃねえよ。」と、とっとと行ってしまうおじさんの方が、子ども達に大切なことを教えてくれたりするものです。
そんな人たちに、もっとスポットライトを当ててあげたい。
もっと世の中の人に知ってもらいたいと思って、立ち上げたのが、ジャパンアウトドアリーダーズアワードです。
カタカナで、アウトドアとか言っているので、ちょっとキャンプのリーダーの表彰制度かなと思われがちですが、地域の指導者にスポットライトを当てたいと思っています。

いつもお子さんを面倒見てくれている、あのお兄さんや、あのおばさんやおじさんを紹介してくれませんか?
是非たくさんの人を社会の人たちの目に触れさせていただき、みんなで励ましたいのです。

詳しくは、下記サイトをご覧ください。


2018年11月2日金曜日

『消費税10%に思う』


来年10月に、消費税が10%に上がりますね。
この10%は、高いのか安いのか…ちょっとネットで調べてみました。
1     27.0% ハンガリー
2     25.5%  アイスランド
3     25.0%  クロアチア、スウェーデン、デンマーク、ノルウェー
4     24.0% フィンランド、ルーマニア
5     23.0% アイルランド、ギリシャ、ポーランド、ポルトガル
6     22.0%  ウルグアイ
7     21.0%  イタリア、オランダ、スペイン、など
8     20.0%  イギリス、オーストリア、フランス、など
9     19.6%  モナコ
10  19.3%  カメルーン

世界の消費税って結構高いんのですね。
そう考えると、日本の10%はいい方なのかなと考えてしまいます。

しかし、この消費税は、逆進性といって低所得者層に対しては負担が大きくなる税であるということも指摘されています。
ですから、低減税率なる、生活必需品などは税率を下げるということも考えられているようです。

そして、この低減税率導入に際して、カード払いや、スマホを利用しての支払いなどをすると、2%分がポイントで還元するということも考えられているようです。
そりゃあ、いいね。便利だし、ポイント還元されるし、キャッシュレスは一気に進むな~。と、思ったのですが、あれ?
低所得者層に対しての配慮が低減材率です。
スマホや、カードを利用する人はいったいどういう人でしょうか?
高齢者や、低所得者層の人の多くは、カードなどを利用して買い物はしないのではないでしょうか?

そして、もっと不思議なのは…この2%のポイント分は、政府が負担するというのです。
みんなのキャッシュレス化が進めば進むほど税金を上げる意味がなくなっていくことになります。

この2%のポイント還元の政府負担も、何年かしたらなしにするのですかね。
でないと、財源になりませんものね。
すると、企業がその分負担するのでしょうか?
それとも、ポイント還元そのものがなくなるのでしょうか?
そうすると低所得者はどうなるのでしょう?
結局重い税に苦しめられるのですね。
政府はそれまでに、国民の所得を上げるという理論でしょうが、低所得者は、そんな簡単に所得が上がるものではないのです。
公務員や、一部上場会社の賃金が上がり、その後、中小企業そして個人営業の小売店や商店がそして最後にパートやアルバイトといった人たちが上がっていく。上がるかどうか…?

消費財上げた直後だけショックをやわらげたら、あとは低所得者の生活が苦しいことなど見て見ぬふりにならないことを願うばかりです。